「医学論文をどうやって読んだらいいのか」に答える本

「論文読まなきゃ…でも、どうやって?」

そんな焦りやモヤモヤを抱えたこと、ありませんか?

若手時代に誰もがぶつかる「医学論文の壁」。
方法や統計のパートで手が止まり、「結局Discussionだけ読んで終わり」なんて経験、あるあるですよね。

今回ご紹介する一冊、『僕らはまだ、臨床研究論文の本当の読み方を知らない。

この本は、論文を読む時に陥りがちな悩みに寄り添いながら「どんな読み方をすればOKなのか」「どこをどうやって読めばいいのか」のヒントを、わかりやすく、的確に教えてくれます。

どんな人にオススメ?

本書のターゲットはどんな医師なのか?
まえがきから引用します。

・どこまで論文を深く読めばいいのかわからない
・人によって論文の読み方が違っていてどうすればいいのだろう
・研究デザインや統計学の本を読んだけど実際の論文は読めない
・統計解析の部分は飛ばしているけど何をしているか知りたい

誰もが一度はこのように思ったことがあるはず。

実は「臨床研究論文の唯一の正しい読み方」というのはありません。研修医も指導医も、それぞれのレベルで理解し、それぞれの立ち位置なりの読み方をしています。

「本当の読み方」という答えがないなかで、本書では「臨床研究論文を解釈するために、どこまで考えて読めばいいのか」の道筋を示しています。

みずきち
個人的には、この本はどんな医師、医療者にもオススメできると思っています!

僕らはまだ、臨床研究論文の本当の読み方を知らない。

この本の内容

3つの章から構成されています。

  • 第1章 論文を読む前に知っておきたいこと
  • 第2章 論文の読み方
  • 第3章 論文を読み終えたら

この本をオススメする理由のひとつが、「『論文を読む」』説明に終止しているのではなく、論文に初めて取り組む医師に向けた準備段階を作ってくれている」ことです。

一般的には、方法(Method)〜結果(Results)〜考察(Discussion)ばかりを解説している参考書が多いです。もちろんそこが肝心ではあるのですが…。

本書では「タイトルページを読む」「イントロダクションを読む」など、論文の導入部を含めた他のセクションの読み方も解説してくれています。
論文を読むのに慣れていない医師にとって心強いことこの上ありません。

もちろん、Method、Results、Discussionについてもかなり手厚く解説されています。

Methodの読み方の章では、「基本編」と「応用編」に分けて解説されていて、自分のレベルにあわせた読み方を習得できるようになっています。
「レジデントのうちはとりあえず割り切ってスルーしていい部分」を明確に示してくれているので、論文を読むのに段階を踏んで慣れていけるはずです。

ほかにも、

  • 論文を1本全部読む必要はあるの?
  • なぜ論文が読めないのか
  • どの医学誌から論文を選べばいいの?
  • 論文を探してみよう!
  • どの論文を読めばいいの?

といった疑問にも、著者なりの考えを述べてくれています。

抄読会の準備にも役立つ!

この本には、抄読会に向けた情報のまとめ方を解説したページもあります
抄読会の準備の方法については、このサイトでもオススメの方法を解説しています!

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個人的なお気に入りポイント

ぼくが特に好きだった部分を、2つピックアップして引用します。

論文が読めない原因は?

論文が読めない原因は、臨床・研究領域の知識不足、研究手法に関する知識不足、論文のお作法を知らない、英語が苦手の4つ

「知識不足」で論文が読めないのは、なんというか仕方がない部分ですよね。知識はどうしてもある程度の時間をかけて習得していかなければいけません。

いっぽう、テクニカルに解決できる「論文が読めない原因」なら、それだけでも論文を読むハードルは一気に下げられるはず。

「どこに何が書いてあるか」のお作法を知ると論文が一気に読みやすくなる

実は、「論文を徹頭徹尾読み込んで、やっと論文の話の流れが理解できる」というわけではないんです。ぼく自身も論文や症例報告を書くようになって、いわゆる「論文の型、お作法」というものを学びました。それを、論文を読むときにも応用できることに気づいたんです。

この本では、その「論文の型、お作法」についても解説してくれています。
これを知ることで、「どこがポイントなのか」を把握しながら論文を読み進められるようになるはず!

みずきち
もうひとつのテクニカルな問題「英語が苦手」については、ぜひ生成AIの力を借りてみることをオススメします。
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メソッドってキッチリ読まなきゃいけないの?

研究手法に関しては疫学と生物統計学を学ぶ必要があるため、レジデントの間はあまりとらわれすぎない

論文を読んでいて飛ばしがちな「メソッド」。
この本では、「初学者のうちはある程度割り切って、メソッドにとらわれすぎない」よう勧められています。

レジデントは論文が読めなくて当たり前。専門医を取得した先生であっても論文を最初から最後まで、統計解析まで含めて読める人はかなり少ないと思われる。論文を読むという視点から大事なことは、最初のハードルをできるだけ下げること。

みずきち
なんというか、心が軽くなりました。

もちろん、もっと経験を積んで将来的にはメソッドも十分に理解できるようになるに越したことはありません。ただ、研修医・レジデントの、そもそも臨床医学知識を身につけるのでいっぱいいっぱいな段階で、統計的な勉強も並行して…というのは、なかなかにしんどいはず。

「論文読まなきゃ…」そのとき、手元においておきたい本

「論文を読む」ことのハードルを、ぐっと下げてくれる一冊。

この本は、単なる読み方ガイドにとどまらず、「読めない理由」とその乗り越え方まで丁寧に解説してくれます。

医学論文との距離を少しでも縮めたい研修医の方、後輩に読み方を教える立場の先生、そして抄読会で論文を選ぶたびに悩んでいるあなたにも。
「まずは、今の自分のレベルで読んでいいんだ」と、そっと背中を押してくれるこの本を、ぜひ手に取ってみてください。

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研修医としての働きかたに悩んでいるあなたへ。

「理想の研修生活を送れていない…」
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「周りからの評価が低い気がする…」

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その中心になるのが、「iPadをいかに使いこなすか」ということ。
詳しくは、こちらの記事をご覧ください。

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