多くの施設で行われている『抄読会』。
抄読会の発表が決まったとたん、PubMedの画面とにらみ合う先生は多いのではないでしょうか。
ぼくも研修医時代、発表前日まで論文が決まらず、検索ワードを変えては閉じるを繰り返していたんです。
論文探しに時間を溶かしている間、本来読み込むべき内容に時間が回せなくなります。これでは本末転倒ですよね。
この記事では、抄読会でどんな論文を選べばいいのか、目安になる内容を紹介しています!
この記事はこんな先生にオススメです!
- 抄読会で読む論文の探し方がわからない
- 抄読会でウケがいい論文を選びたい
- いろいろな論文の探し方を知りたい
どこで論文を探す?

実はPubMedでいきなり探し始めるのは、遠回りなんです。
検索ワードだけで絞り込もうとすると、関係のない論文が山のように出てきます。同期の先生も同じところでハマっているケースが多いんですよね。
論文探しは「どこで探すか」の順番を決めておくだけで、驚くほどサクサク終わります。
ステップ①:まずは上級医に聞く
一番早くて確実なのは、どのジャーナルから探せば良いかだけでも、上級医(あるいは抄読会の主催者)に聞いてしまうことです。
抄読会の目的に合った論文をいちばん確実に探しやすいからです。
抄読会を定期開催しているような施設であれば、オススメのジャーナルをある程度絞っている場合もあります。
どのあたりのジャーナルから探せば良いか、上級医に素直に聞いてみるのがよいでしょう。
ステップ②:鉄板の5大誌+インパクトファクターで探す
上級医に頼れない場合は、主要5誌から探すのが鉄板です。
どんな専門科の内容も扱ってくれていることが多く、また、質も担保されている論文が多いです。
このあたりのジャーナルは多くの施設で定期購読しているので、論文検索もしやすいはずです。
- New England Journal of Medicine(NEJM)
- The Lancet
- Journal of the American Medical Association(JAMA)
- British Medical Journal(BMJ)
- Annals of Internal Medicine
この5つに続く形で、各分野のトップジャーナル(小児科のPediatrics、循環器のCirculation、血液のBloodなど)が続きます。
「各分野のトップジャーナルと言われても、どれかわからない…」そんなときは、前述のように上級医に聞いてしまうのがいちばん早いでしょう。
PubMedで検索してみる
5大誌だけで見つからないときは、PubMedの検索式を使いましょう。
「テーマ」「研究デザイン」「雑誌名」をANDでつなぐだけで、驚くほど精度が上がります。例えば心不全のRCTを探すなら、こんな形です。
(“heart failure”[tiab]) AND (randomized controlled trial[pt]) AND (“N Engl J Med”[ta] OR “Lancet”[ta] OR “JAMA”[ta])
さらに、Clinical Queriesという機能を使えば「治療」「診断」「予後」などカテゴリ別に絞り込めます。検索範囲を「絞り込み」にすれば、的を外しにくくなりますよ。
検索式を保存して自動配信に設定しておけば、新着論文がメールで届くようになります。一度設定すれば、次回以降の検索が要らなくなるんです。
ステップ④:生成AIに論文検索を任せてみる?

どうやら、医療現場に、静かに、そして確実に生成AIの波が押し寄せているようです。CareNetや日経メディカルなどで、生成AI系の記事を眼にすることが多くなったと感じています。ぼくも最近、生成AIを使おうと思い、勉強を始めました[…]
ステップ⑤:論文紹介サイトを使ってみるのも手
どうしてもうまく見つからなければ、論文紹介サイトを参考にしてしまうのもアリです。臨床的にインパクトがあるような論文を、要点をまとめて日本語で紹介してくれているサイトが数多くあります。あえてここで紹介することはしませんが、Googleなどで検索してみてください。各科の専門の先生が個人ブログで紹介しているものもありますし、m3などの医師向けサイトで論文のアブストラクトを紹介している場合もあります。
注意点として、内容の正確性や、実際に臨床に役立つかどうかというところは完全に信用できるわけではないかもしれません。書いてある内容をそのまま抄読会で発表するのではなく、あくまで抄読会のネタ探しの参考にする程度に留めておいてください。
どんな論文を探す?

できるだけ新しい論文がいい
できるだけ新しい論文のほうが、抄読会では喜ばれます。理由は単純で、「まだその論文を読んだことがない」参加者が多いからです。発表年で言えば1年以内、できれば3〜5年以内がいいかなと思います。大学病院など、先端医療を担う施設であれば、1年以上前に発表された質の高い論文はすでに抄読会で発表されてしまっていることが多いでしょう。いっぽう、市中病院での抄読会であれば、発表から3〜5年以内のものでも十分だという印象です。
抄読会で発表したい論文が10年以上も昔のものであるなら、その論文を抄読会であえて発表する意義を明確にするべきです。たとえば、「最近自分が経験した症例に関するメジャーな論文」などでしょうか。
Original Articleが定番
批判的吟味について勉強するという意味では、ReviewよりもOriginal Article(原著論文)のほうが有用とされています。その中でも、研究手法としてRCT(Randomized Controlled Trial)を用いているものがすすめられます。Review Articleは内容がよくまとまっていて、個人で読むのにはとても役立ちますよね。ただし、「研究対象者の数が実は少ない」「介入の方法に実臨床とのズレがあり、自身の診療に応用しづらい」などのような落とし穴がありえます。
抄読会で「内容の妥当性について批判的吟味を加えながら読む」練習をするうえでは、Original Articleを使うことが多いです。
論文を選んだあとは、「どこまで読み込むか」で手が止まる先生も多いはずです。
難易度別に読み方を解説した本の感想をこちらの記事にまとめています。
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個人的に気にしてほしいポイント
研修医の先生に抄読会の発表を担当してもらうときに個人的に期待しているのは、「最近担当した症例に関するテーマでの論文を選んできてくれること」です。
インパクトファクターの高い雑誌の、質が高い論文も勉強になります。ただ、個人的には、「臨床の中で生じた疑問を解決する」という目的で論文検索を行う、ということを大事にしてほしいと思っています。それに、担当症例に関するテーマであれば、内容を読むのにもより力が入りますよね。
「論文の質の高さ」も大事ですが、はじめのうちはどんなものが「質が高い」のかも分かりにくいと思います。(ぼく自身、自分で十分に分かっているとは言い難いです…。)抄読会の準備を面倒に感じることもありますが、読む動機があれば多少なりとも準備はしやすくなるでしょう。
まず、どこで論文を探すかが大事。
抄読会に慣れないうちは、素直に上級医にオススメジャーナルを尋ねるか、ハズレのない超メジャージャーナルから選ぶか。抄読会のネタ探しに時間をかけるあまり、論文自体を読み込む時間が足りなくなるのでは本末転倒です。自分のレベルに合った論文検索の方法を用意しておきましょう。
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