皆さんは論文データをどうやって管理していますか?
「とりあえず印刷して山積みにしている」「PDFをそのままパソコンに保存している」など、いろいろなやり方があると思います。
ぼくがオススメするのが、『Mendeley Reference Manager』。
「無料の論文管理アプリだから」ぐらいのつもりでインストールしたのが始まりでしたが、使ううちにその便利さに気づきました。
今では皆さんに使うことを強くオススメしたいぐらい、ぼく自身も使い込んでいます。
この記事はこんな先生に役立ちます!
- 論文管理ソフトがどんなものなのかよく知らない
- 論文を読む機会も少なく、論文管理ソフトなんて不要だと思っている
- ややこしい機能なんて必要ない、シンプルな論文管理ソフトが欲しい
この記事では、論文管理ソフト『Mendeley Reference Manager』の代表的な機能について解説しています。
- Mendeleyでよく使う機能
- Mendeleyの使いにくいところ
- 試してほしいMendeleyの使い方
公式サイトをご確認ください!
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論文管理ソフトMendeleyとは
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そもそも論文管理アプリを使う意義って?
論文データといっても、PDFじゃないですか。
「普通にフォルダ分けしていれば、わざわざ専用の管理ソフトなんて使う必要がないんじゃない?」
ぼくも研修医の頃は、そう考えていました。
結論から言うと、医師であればMendeleyに限らず論文管理ソフトは持っておくことをオススメします。
ぼく自身、ここ数年の間に自分で論文投稿をする機会が増えるにつれ(年に1〜2本程度ですが)、手作業で論文データを管理するのにも不便さを感じるようになっていました。
また、「抄読会用にとっておこう」と思って論文のデータをダウンロードしても、読んだのか読んでないのか覚えていなかったり、読んだはずなのに内容にメモ書きをできていなかったり…。
医師として経験を積むにつれ、論文管理ソフトの必要性を認識するようになりました。
論文管理を始めるなら、まずはMendeleyがちょうどいい
論文管理ソフトが欲しいとは言っても、
- 論文作成のときに、とくに重要な引用文献にお気に入りマークをつけておく
- 書き上げた原稿に、引用文献リストをサッと挿入する
- 抄読会用の論文をお手軽に読める
ぐらいの機能があれば十分ですよね。
それともう一つ大事なのが、無料であること。
有料版で有名な『Endnote』というソフトもあるのですが、数万円するので手が出しづらい…。
このあたりの条件をクリアしてくれるのが、Mendeleyでした。
Mendeleyでよく使う機能
Mendeleyの基本的な機能
論文管理ソフトに最低限欲しい機能は、もちろんMendeleyにも備わっています。
- PDF管理:タイトル、著者、掲載誌、発表年などによって並び替えたり、好きなようにフォルダ分けをしたり
- アプリ上で論文を読める:蛍光ラインをひいたり、コメントを追記したりできる
- Webブラウザからもデータを利用できる:MendeleyソフトをインストールしていなくてもOK
引用文献リストの一括管理・書き出しができる
論文を書くと、投稿先の雑誌のルールに合わせて、引用文献の書式もひとつひとつ修正しなければいけません。
しかも、一発でアクセプトされることなんて滅多になくて、投稿先を変えるたびに何回も書式を直すことに…。
研修医のころはイチイチ手作業で直していたのですが、これがまあ大変。
(ホントのところ、その頃からMendeleyのことは知っていたのですが、設定するのがメンドクサイと思って使っていませんでした。反省。)
MendeleyとWordプラグイン『Mendeley Cite』が解決策でした。
論文中の引用文献の番号の挿入やリストアップもサクサクできて、投稿誌を変えるときにも書式をスムーズに変更できるんです。
ぼくは今でもめったに論文なんて書きませんが、普段から論文を量産している先生からすれば、そういったルーチン作業の面での効率は重要なんだそうです。
論文を書くようになったら、とりあえずMendeleyの引用文献管理機能を試してみてください。
PubMedから直接論文を取り込める
『Mendeley Web Importer』というWebブラウザのアドオンがあります。
これは、ブラウザで表示している論文PDFをMendeleyのデータベースに直接転送してくれるというもの。
インターネットで見つけた論文を、ひとつひとつダウンロードしてからMendeley取り込む、なんてことをする必要がなくなります。
特に便利なのが、「表示されているページからリンクされている文献PDFをまとめてダウンロードしてくれる」機能。
この機能を使えば、関連する論文のPDFをまとめて集めておいて、後でゆっくり読み返すということが可能になります。
ひとつひとつの論文の内容を確認しながら取り込むもよし、とりあえずまとめて手元に集めておくもよし。
自分の目的に合った論文集めが実現できます。
他のユーザーと論文データを共有できる
将来使ってみたい機能の一つです。
複数のスタッフで共同研究などしているのであれば、便利なのでしょう。
ぼく自身は、まだ症例報告や施設内での小規模な研究程度しか経験がないため、この機能を使う機会はありませんでした。
Mendeleyの使いにくいところ
日本語商業誌のPDFデータを管理しづらい
商業誌を引用文献に載せることはほとんどありません。
しかし、商業誌の記事に載っている引用文献が思わぬところで役立つことがあるので、論文執筆中は関連する商業誌の記事データも保存するようにしています。
しかし、商業誌の記事はいわゆる「論文」ではありません。
そのため、書式がバラバラで、Mendeleyもうまく認識してくれません。
データを取り込むことはできるのですが、文字化けしてしまい、管理が逆に面倒になってしまいます。
MendeleyをあらゆるPDFの管理ツールとして使用するのは難しいようです。
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試してほしい!MendeleyとiPad『Papership』の連携
両アプリとも開発元のサポートが不十分である可能性があり、本記事の内容に基づいたデータ管理およびアプリ・デバイスその他の購入は自己責任でお願いします。
ぼくがMendeleyをオススメするいちばんの理由。
iPadのアプリ『Papership』と連携させると、
Mendeleyに保存している論文をiPadで読めるうえに、Apple Pencilやスタイラスペンでの書き込みができます。
もちろん、書き込んだメモはMendeleyにも反映されます。
詳しい方法は、こちらの別記事で解説しています。
両アプリとも開発元のサポートが不十分である可能性があり、本記事の内容に基づいたデータ管理およびアプリ・デバイスその他の購入は自己責任でお願いします。
ぼくは論文を読むときにメモ書きをしないと内容が頭に入らないタイプなんです。
しっかり読みたい論文は毎回紙に印刷していたのですが、紙だと無くしてしまうし、思いついたときにパッと読むということもできないしで、管理が面倒だったんですよね。
『Mendeley』 × 『Papership』を導入してから、電車や医局でのちょっとしたスキマ時間にも、パッと抄読会の準備を進められるようになりました。
書き込みをするためのペン型デバイスはApple Pencilが有名ですね。
ただ、最低限文字を書き込んだりするだけなら、Apple純正品でなくても十分です。
ぼくが使っているのは『KINGONE』というメーカーのスタイラスペンです。
iPad(第9世代)と併用していますが、まったくストレスなく使えています。
スタイラスペンはPapership以外のiPadアプリでも使えるので、一本は持っておくと良いですよ!
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Mendeleyのインストール
Mendeleyのソフトは、公式サイトから無料でダウンロードできます。
あわせて、会員登録もしてしまいましょう。
前バージョンの『Mendeley Desktop』が終了
2022年9月に『Mendeley Desktop』のダウンロードができなくなるとのアナウンスがありました。
現在は、後継アプリ『Mendeley Reference Manager』が公開されています。『Mendeley Desktop』よりもより洗練されて使いやすくなっています。
Mendeley公式サイトからダウンロードできますよ!
論文管理を始めるならMendeleyを試そう!
無料の論文管理ソフトMendeley Reference Managerの代表的な機能について解説しました。
- Mendeleyには、一般的な論文管理ソフトの機能が詰まっている!
- 論文管理に特化しているので、他の種類のPDFは管理しにくいかも。
読みたい論文が溜まってきたら、Mendeleyで管理するのがオススメ。
無料なので、とりあえずでも試しやすいですよね。
Papershipとの連携は本当に便利です。
両アプリとも開発元のサポートが不十分である可能性があり、本記事の内容に基づいたデータ管理およびアプリ・デバイスその他の購入は自己責任でお願いします。
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